今年、私立中学の受験を終えて中学1年生になったY君は、受験のあとも、私たちの教室に通ってくれています。私立中学は、一年を前期・後期にわける二期制の学校が多く、今月の初めに前期の中間テストがありました。Y君にとっては、中学校で初めての定期テストです。私立中学ですから、進度も速く、範囲もひろくて大変です。
さて、Y君。初めてのテストの結果は、だいたい平均点くらいだったようですが、ただ、社会科は、他の科目と比べて、ずば抜けてできていて、学年で3番でした。私たちの教室は、個別指導ですから、一人ひとり別々に教えていると、その子の個性や特性がとくによく見えます。
数学が得意だけれど、英語は苦手とか、逆に、英語は得意だけれど、数学は大の苦手とか…、です。
どの子も多かれ少なかれ、そういう傾向はあるのですが、中には、どうしてこんなに極端なんだろうと思うケースがよくあります。
これが端的にあらわれるのが、数学です。10の内容をマスターするのに、10時間かかる子もいれば、1時間で足りる子もいます。1時間で足りる子は、たしかに“理科系”に向いています。でも、10時間かかる子が“理科系”に進もうとすると、やっぱり、“不利”です。
一の努力と、十の努力が同じでは、これで勝負するのは、“損”です。
Y君は、私立中学の受験では、算数が苦戦でしたが、社会科の地理や、歴史が好きで、家でも、教室でも、いつも地理や、歴史の本を読んでいました。だから、社会はよくできていました。
今回のテストでも、本人に言わせると、社会はとくに勉強しなかったけれど、学年でトップクラスでした。Y君の学校からは、今年、東大合格者が2名出ている、今躍進中の私立中学ですから、その中で3番は自慢していいと思います。
これは、Y君の潜在的な能力を示しています。Y君は、社会科の潜在能力が高い、ということです。
勉強に限らず、スポーツでも、音楽でも、“隠れた能力”というのがあります。
フィギュアスケートでも、水泳でも、小さいときに他の子とは明らかに違いを見せる子がいます。そういう子は、少しの練習≠ナ、次から次と、“できる”ようになるといいます。少しでできるのですから、たくさん練習するとなおさらです。
学校の先生や、スポーツ、音楽の指導者に限らず、人にものを教えたことのある人なら、だれでも気がつくことなのですが、、、
もちろん、全科目トップの成績がとれれば申し分ないわけですが、まずは、得意な科目は、もっと得意にするように、と、Y君にアドバイスしました。「この科目は学年で1番」という目標を持つことです。それが達成できると、「では、他の科目も!!」、という欲が出てきます。
中学受験では、算数が得意でないと、入試は圧倒的に不利です。算数で、自信をなくしてしまう子もいます。これは中学受験の弊害の一つです。なにも、数的処理の能力だけが、能力ではありません。
どうも、文科系より、理科系のほうが上、算数や数学ができる子が、「勉強ができる」という風潮があって、親御さんの中にもそう思われている方もけっこういますが、そんなことはありません。
私たちの教室にも、数学はまったく苦手だけど、英語はずばぬけているという生徒がいます。私大の文系であれば、英語、国語、社会で勝負できます。これがずばぬけていれば、早慶でも、上智でも、トップクラスの大学に入れます。だから、英語は、中学一年からしっかり勉強すべきです。
実際に教えていると、Y君、数学に比べて、英語の覚えがいい。きっと、英語も上位になれるはずです。とくに、Y君は私立中学なので、高校受験がありません。余裕をもって勉強できます。その余裕を、ぜひ英語に振り向けてほしい、と思います。
昨日の個人面談で、Y君には、英語もトップを目指すようにと、言いました。まず、得意な科目をつくって、それをもっと得意にすること。まず、一科目でも、学年トップの科目をつくって、自信をつけること。
一番よくないのは、どの科目も平均点くらいで満足してしまうことです。これでは、なにもかも中途半端です。それより、一科目でも学年トップのほうが価値があります。私は、Y君には、得意な社会の他に、英語をできるようにさせたいと思っています。
この春、高校一年になったY君は、今回の中間テストで、なんと数学が学年一位の成績でした。 進学校の成城高校で学年トップはかなりのものです。
Y君は小学生のころから中学受験で、私たちの教室に通い、中学受験が終わった後も、部活のバスケットが忙しい中、引き続いて私たちの教室に通っています。ですから、もう、上智スクールで、まる4年以上になります。
Yくんは、自分でも認めているように、典型的な理系<^イプで、社会など、暗記科目は小学生のころからちょっと苦手でしたが、数学や理科は大好きです。
勉強というのは、まず、自分でやってみなければダメです。でも、自分でやってみて、どうしてもわ からない場合があります。そういうときにこそ、先生に聞い ていみて、ちょっとヒントを与えられると、「なるほど」とわかる場合があります。
そういうときに、わかるようになった問題が、本当に“身につく”のです。個別指導の先生が重宝なのはそういうときです。最初から先生に“解き方”を習っても、そのときはわかったような気がしても、すぐに忘れてしまいます。勉強に限らず、習い事というのは、なんでも、そういうものです。
Yくんは、今回の中間テストのように、いつも定期テスト前になる と、熱心に質問し てきます。こういう生徒は、個別指導に向いています。Y君は、小学生のころからそうでしたが、じっくり、粘り強く考えるタイプです。それでもわからなくて、“どうしてだろう?”と悩んだ問題を聞いてきます。
小学生のころも、「これは、こうなんだ。」とヒントを言うと、パッとひらめいたように、「あっ、そうか!!」とわかると、嬉しそうな顔をしました。何より、感心なのは、かならず、「ありがとうございました。」と言ってくれることです。
さて、Y君。高校一年の一学期、最初の中間テストで、数学は幸先の良いスタートになりました。
〇経験を活かして、ひとりひとり、丁寧に、勉強のしかたを教えます。